047563 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

●○● Cohaku`s room ●○●

●○● Cohaku`s room ●○●

 猫と子と...

             





     「猫と子と偽りと。」



世界中にきれいな羽根が散らばっていきました。
美しくそして汚れ無き天使の羽根が。

それを集める為動いたのは

大きな猫と小さな鼠でした。


大きな猫は一気に集めようと、世界中を走り回りました。
羽根は一日で半分集まりました。

でも猫は疲れきって死んでしまいました。

結局、猫は羽根を天使に届けることができませんでした。


小さな鼠は少しずつ集めようと、世界中を歩き回りました。
羽根は一生で半分集まりました。

でも鼠は年老いて死んでしまいました。

結局、鼠は羽根を天使に届けることができませんでした。


「急ぎ過ぎや、ゆっくり過ぎ。そんな極端なことをしても無意味なのです。」

天使は大きな猫と小さな鼠を2匹が集めた羽根と一緒に埋めました。


天使の背中には新しい翼がありました。
美しくそして汚れ無き天使の羽根が。

それは大きな猫と小さな鼠の努力でできていました。


天使は2匹を埋めて微笑みました。
否、それは傍から見れば嘲笑うかのような笑顔でした。

天使は2匹を埋めて嘲笑いました。
自らの手を汚すことなく
自らの望むものを手に入れて。

2匹の命を懸けた努力を手に入れて。


でもその翼は見る見るうちに黒色に変わり
そして天使自身も黒色に染色されていきました。

やがてボロボロと形を崩し、跡形も無く朽ちてしまいました。

結局、天使は何も得ることができませんでした。


猫と子と偽りの天使の、
”めでたしめでたし”とは終われない、お話でした。




めでたし、めでたし。













                  


© Rakuten Group, Inc.
X