猫と子と...「猫と子と偽りと。」 世界中にきれいな羽根が散らばっていきました。 美しくそして汚れ無き天使の羽根が。 それを集める為動いたのは 大きな猫と小さな鼠でした。 大きな猫は一気に集めようと、世界中を走り回りました。 羽根は一日で半分集まりました。 でも猫は疲れきって死んでしまいました。 結局、猫は羽根を天使に届けることができませんでした。 小さな鼠は少しずつ集めようと、世界中を歩き回りました。 羽根は一生で半分集まりました。 でも鼠は年老いて死んでしまいました。 結局、鼠は羽根を天使に届けることができませんでした。 「急ぎ過ぎや、ゆっくり過ぎ。そんな極端なことをしても無意味なのです。」 天使は大きな猫と小さな鼠を2匹が集めた羽根と一緒に埋めました。 天使の背中には新しい翼がありました。 美しくそして汚れ無き天使の羽根が。 それは大きな猫と小さな鼠の努力でできていました。 天使は2匹を埋めて微笑みました。 否、それは傍から見れば嘲笑うかのような笑顔でした。 天使は2匹を埋めて嘲笑いました。 自らの手を汚すことなく 自らの望むものを手に入れて。 2匹の命を懸けた努力を手に入れて。 でもその翼は見る見るうちに黒色に変わり そして天使自身も黒色に染色されていきました。 やがてボロボロと形を崩し、跡形も無く朽ちてしまいました。 結局、天使は何も得ることができませんでした。 猫と子と偽りの天使の、 ”めでたしめでたし”とは終われない、お話でした。 めでたし、めでたし。 |